片隅でひっそりと

~共働き家庭の 仕事・家事・育児~

クマさんのフィナンシェ

日曜日。散歩に出かけた帰りに、レトロな喫茶店で、自分たち用にシュークリームを2個買いました。

旦那さんに、「ぐり君はまだダメ?」と訊かれ「ダメ」と返答。

「でも、ないと泣いちゃうよ?」というので、ぐり君には焼き菓子を1つ買いました。

旦那さんが選んだのは、可愛いクマのフィナンシェ。

クマの形に焼かれており、目鼻はパッケージに印刷されていました。

 

散歩から帰り、家に着く頃には、ぐり君はすやすやと夢の中。

そーーーっと布団に下ろし、着地成功!

「よし、お茶にしよう!」と、旦那さんに宣言。

 

旦那さんがお茶の用意をしている間、私はソファーに寝転がりだらり。

シュークリームを前に、お湯が沸くのを待っていると…。

5分もしないうちにぐり君の目が覚めてしまいました。

 

あぁ、ゆっくりできると思ったのに~と、がっくりしていると、

ぐり君は、目ざとくシュークリームが入った赤い箱を抱え込み、「りーたんの!」と、自分のものだとアピール。

シュークリームがつぶれてしまう!と箱を取り上げると癇癪をおこしました。

すかさず、「ぐり君のは、こっち!」と、小さな紙袋からフィナンシェを取り出すと、そちらが気にいった様子。

ニコニコとして、「わんわん」。

「クマさんね」と訂正しても「わんわん」。

まあ、いいか…。

 

フィナンシェを私に差し出し、パッケージを開けてほしいと、そぶりで伝えてきました。

袋を開けて取り出すと、クマの目鼻はなくなってしまいちょっと残念。

でも、ぐり君は気にせず、右手に持ったり、左手に持ったり。

持ち替えるたびに、バターで汚れた手を舐めてたり、シャツで手を拭いたり。

しかし、一向に口に入れません。

「それはぐり君のだよ。食べて良いよ?」といっても、「いやいや」。

 

シュークリームは早々に食べてしまい(じゃないと、ぐり君が欲しがって泣くと大変なので)、その後はぐり君の要望に応え、「カーズ」のDVD鑑賞会。

旦那さんは床にごろり。私はソファーにごろり。

何度も何度も見たDVDをまったりと鑑賞。

そのうち、ぐり君も旦那さんに体をくっつけてゴロゴロしはじめました。

 

あぁ、眠いんだな。このまま寝てくれるといいな~と思っていると…。

突然の、ぐり君の大号泣!

さっきまでゴロゴロしていたのに、床に座り込んで天を仰ぎ、わんわんと泣き始めました。

え!?どうしたの!?どこか痛くした!?と、慌てて飛び起き、ぐり君の傍に行くと…。

片手には、首と耳が取れて哀れな姿になったクマさんのフィナンシェが。

 

「壊れちゃったの?」というと、涙をぽろぽろこぼしながら「んっ」。

「そうかぁー。もう壊れちゃったし、食べたら?」というと、また一際大きな声で「わーん!」。

まぁるい涙が、ほっぺをぽろぽろ伝っていきます。

この時点で、旦那さんがスマホの動画をON!(したつもり)

 

「クマさん、お口に入れたら、おなかの中でりーたんと遊んでくれるよ」とおなかをもしょもしょ~、「いやいや~! わんわーん!」…ダメか。

もうこの辺で、呼称はクマさんではなく、ワンワンでもいかと思い始める私。

 

「ワンワン、可愛かったの。可愛かったから食べたくなかったの」と、語りかけながら、壊れたフィナンシェを手のひらに並べ、クマの形に整える。

ぐり君は、少し泣き止み、ひっくひっくしながらそれを見て…再び手に取ろうとすると…まあ、当然のことに“ボロッ”と崩れ、また「うわーーーんっっ!」。

クマが可愛くて、ぬいぐるみのように大事に持っていたかったようです。

この時点で旦那さんが動画の収録を止めようとして…動画の再生ボタンが押されていなかったことに気付きました。痛恨のミス!

(私もよくやります。iPhoneの動画収録のユーザビリティはよくない。改善して欲しい)

二人で「あぁ…! あんなに可愛かったのに!!!」と地団駄。

旦那さんは、少し落ち着いてきたぐり君に「ぐり君、もう一回泣いて!」と無理なオーダーをしていました。

 

ひっくひっくしているぐり君の口に、取れてしまった小さなクマの耳を入れるも、泣いて抵抗。

口から出し、また私の手のひらの元の位置に戻します。

パッと見は直っているように見えるけど、当然のごとくバラバラ。

やり取りを重ねるごとに、徐々に崩壊が拡大。

 

私の手のひらから、頭と胴体を取り上げ、泣きながら空中で一生懸命くっつけようとするぐり君。

ブロックじゃないから、くっつかないんだよ…。

しかもそれ、顔が背中を向いてる…180度回転してるし。

くっつかないクマを見て、またまた号泣。

 

旦那さんが「手に持ちたいんだよ。また袋に入れてあげたら?」と助言してくれ、クマの形になるように、丁寧に各パーツを収納。

その袋を手渡すと、ようやくちょっと落ち着いてくれました。

でも、まだグスグスしているので、再度フィナンシェを食べることを提案するも「いやいや」。

 

「じゃあ、ビスケット食べる?」と提案して、ようやく「んっ」と頷いて気分を変えることに成功。

その後、お皿に盛ったミレービスケットをむさぼるように食べていました。

 

 

クマのフィナンシェが壊れて泣くぐり君、可愛かった~。

またあのフィナンシェ買ってこよう…。

 

ちなみに、あんなに大事にしていたクマのフィナンシェは、少しずつ摘んで食べ、寝る頃にはもう1欠片も残っていませんでした。