先日書いたこちらの記事。
今になって思えば、なぜ一昨年の私はあんなにごちそうを作ってもてなしてしまのか…と。
そんなことをするから、旦那さんは客を呼ぶ苦労も気遣いもすることなく「みんなにぐり君を紹介できて楽しかった!」と美味しいとこ取りで、翌年も今年も、恒例行事化してしまったのでしょう。
まあ、当時はまだ新婚1年+αで、良い妻キャンペーン中だったしね。
育児休業中で、「家のことは私がやる」という意識だったしね。
しかし、それより何より、「母がそうやって父の客をもてなしていたから」が強いと思う。
母が勤めていた当時は「寿退社」が当たり前だった時代。
後に母が勤めていた社名を聞いて「そんな大企業で働いていたの!? 私なんて希望したって入れないよ」と驚いた。辞めてしまって勿体ない…と思うものの、当時は結婚後も女性がそのまま勤め続けるのは厳しい環境。
専業主婦になった母は掃除も洗濯も苦手だったけれど、料理だけは得意で、よく父が独身の部下を連れて帰ってきて、母はたくさんの料理を作ってもてなしていました。部下は近所の独身寮に住んでいたため、小さな子どもたちが懐く程度の頻繁さでうちでご飯を食べていました。
そういう「母が来客をもてなす」のを、小さな頃に記憶に植え付けられているので…私の客だろうと、旦那さんの客だろうと、ついつい「私が料理を作ってもてなさないと」と思ってしまうんですよね。
いやいや。でも、母がもてなしていたのは「夫は家族を養えるぐらい稼ぎ、妻が専業主婦として家を支える」という社会構造が成り立っていた時代の中で、さらに相手は「部下」。
私たちは共働き家庭で、家計も平等に担っていて、なおかつ遊びに来るのは旦那さんの「友達」!
自分が育った環境が「専業主婦」のいる家庭だったため、未だに小さな頃に刷り込まれてしまった「自分の中の理想と常識」が「今の自分の家庭の理想と常識にマッチしていない」ということに面食らいます。
先週の水曜日は旦那さんがノー残業デーだったので、豆腐ハンバーグを作ってくれました。(ケンカ勃発の前日)
とても美味しく、「美味しいねぇ」といいながら食べていたのですが、旦那さんが自画自賛で天狗になったので、「本当に美味しい。これから、毎日お父さんに夕食を作ってもらおうか」とぐり君に話しかけました。
このエピソードのその前に…先々週末、義実家・実家の帰省から自宅に戻り、疲れ切っていた土曜日のこと。
お昼ごろに買い出しにでかけた際、旦那さんが「ひき肉と豆腐を買いたい」といったのです。「ひき肉なら、イトーヨーカドーより西友の方がいいなぁ」と返事をすると「あ、じゃあいいや。今晩豆腐ハンバーグにしようと思ったけれど、それは自分の当番の水曜日までとっておく! 休日はシイノキさんの担当だし」と、のたまったのです。
はー!? 別に、旦那さんが夕食を作るのは水曜だけ、なんて決まっていないけれど!? 平日は私が時短勤務で早く帰るから必然的に私が担当になっているけれど、土日や祝日は「私が担当」なんて決まっていないけど!? 普段は善意で率先してやっているだけだーーー!!!
と、内心、爆発。
疲れきっていて、体調も悪かったので、一気にやる気がダウン。
その日の夕食は、私の調子の悪さを見て旦那さんが「味噌汁を作る」といだしたので「じゃあ、解凍しておいた魚も焼いて。副菜はお母さんからもらった黒豆でいいから」と、すべて旦那さんにお任せしたのでした。
そんなことがあった後だったので、「ご飯を作るのは水曜だけと自分で勝手に決めつけないで、出来るときにはやってくれ」という気持ちが片隅にあっての「本当に美味しい。これから、毎日お父さんに夕食を作ってもらおうか」発言でしたが、それを聞いて旦那さんは慌てて、「いや、家庭内の労働の場を奪うわけにはいかないし!」というので、さらに私は「はー!?」となり。
私は専業主婦じゃない!!! 家庭内だけが仕事の場ではない!
「いや、別にいいけど? 旦那さんが毎日夕食を作ってくれるなら、私は時短勤務やめてフルタイムで働くだけだから」と速攻で打ち返し。
旦那さんも、私の言葉の冷たさに、失言だったと気づいたのでしょう。
「いや、まあ…。時短勤務やめてもいいけどさ…」と苦笑いしていました。
私も、旦那さんも、双方ともに「家庭では夫も妻も平等・家事育児も平等で担う」と、頭では分かっていて、日々体にも刻んでいるけれど、それでも母親たちが専業主婦として家庭の仕事を一手に担っていた原体験のイメージを捨て去ることが出来ずにいます。
自分自身がジェンダーの呪縛から逃れきれておらずたまに自分自身の足元をすくうことがあるので、旦那さんの失言にも釘を刺しただけで流しました。
この先も、何度も母の時代の「専業主婦像」に足元をすくわれるのでしょう。
共働き世帯に身を置きながら、「専業主婦家庭での当たり前」の感覚とのギャップで悶えるのでしょう。
でもきっと、この葛藤しながら共働きを続けている「今の私の家庭」で生まれながらに暮らしているぐり君には、私を苦しめる「専業主婦像」なんて欠片も見えていないに違いありません。
私と旦那さんが苦労して築き上げている最中の「我が家(共働き世帯)の当たり前」が、小さなぐり君の中に刷り込まれていくのでしょう。
夫婦は平等。共に稼いで共に家庭を運営する。仕事の重責も、家族を養う責任も、育児・家事の役目もすべて半分こ。男女の性別にとらわれず得意な方がやればいい。今の私と旦那さんのやり方が、ぐり君の「普通」になる。
私たちの世代も、親の世代から見たら格段に「男女平等」に写っているのでしょうが、ぐり君の世代ではさらにそれが進むのでしょう。
男女平等ランキング、日本は過去最低に 中国、韓国、UAEより下:日経ビジネス電子版
2019年の「ジェンダー・ギャップ指数」を発表した。日本の指数は0.652で、総合順位は対象の153カ国中121位。前年の110位からランクを落とし、06年の指数算出開始以来、過去最低の順位となった。先進主要国首脳会議参加国(G7)でも最低だ。
「男性が外で働き家計をを支える」は、翻っては「女性より男性の賃金が高い」に結びついていると思います。
おひとりさま女性の貧困話題には、つねに男性より女性の給料体系が低いことが理由にあがります。
しかし、私が働いてきた環境では、そんな事はありません。能力や経験による給料差はあっても、男女という性差だけで給料の価格帯が違うということはない。
いつかは、この男女の賃金格差もなくなるときがくるはず。
女性の賃金は上がり、男性の賃金は下がり…。
男性だけで一家を養えなくなれば、共働きはより一般的になっていくと思います。
女性の賃金、16年は男性の73% 格差解消なお遠く :日本経済新聞
私が結婚前も結婚後も苦しんだジェンダー問題。
私たち親世代が藻掻くことで、ぐり君の代にはこの負の鎖が断ち切れていますように。
(この記事は、喧嘩勃発前に書いたものです。今にして思えば、もうこのときに私の中に火種があったのね…)