料理や掃除などの家事をしている時間は▽平日で妻が1日平均4時間23分と夫のおよそ7倍(夫・37分)▽休日でも妻の1日平均が4時間44分と夫のおよそ4倍となっています。(夫・1時間6分)
また、12歳未満の子どもがいる家庭での育児の時間は▽平日で妻が1日平均8時間52分と夫のおよそ6倍(夫・1時間26分)▽休日でも妻の1日平均が11時間20分と夫のおよそ2倍となっています。(夫・5時間22分)
さらに、献立を考えたり日用品や食材の不足分を確認したりする、いわゆる「名もなき家事」をどちらが担当しているか尋ねたところ、およそ9割の家庭は妻が担っていました。
妻と夫が家事や育児を行う時間は5年前や10年前と比べて大きな変化がなく、依然として妻に負担が偏っている現状が明らかになりました。(妻の家事時間 夫の7倍 「名もなき家事」9割は妻 | NHKニュースより抜粋)
うちはここまで偏ってないなぁ。というか、この数字はどういう前提条件の元で出された数字?
「妻」は、平日の家事4時間23分、育児8時間52分、計13時間15分となっているけれど。
私、朝の起床から家を出るまでに2時間、帰宅が18時で就寝が24時なので6時間(寝落ち時間・憩いの時間も含む)、あわせて8時間。平日「家事・育児、それに自分の食事やお風呂」に費やしているのは8時間しかないよ…。他の共働き家庭の女性陣も、うちと似たようなものじゃない??
と、数字に疑問を持ち、出典元を見てみました。
国立社会保障・人口問題研究所「第6回全国家庭動向調査」
http://www.ipss.go.jp/ps-katei/j/NSFJ6/Kohyo/NSFJ6_gaiyo.pdf
…うーん。これ、「妻」の数字は、P.12 の「1.妻と夫の家事時間」の、専業主婦も兼業主婦も含めた数字だね。
大多数が兼業主夫である「夫」の数字と、専業主婦も兼業主婦も含めた「妻」の数字を同列で並べて語ってはダメでしょう…。
出典元では、単に「図 4-1 調査回別にみた妻の 1 日の平均家事時間」と「図 4-2 調査回別にみた夫の 1 日の平均家事時間」という調査結果の数字だけを並べているので、そこに恣意的なものはない。
でも、NHKが「依然として妻に負担が偏っている現状が明らかになりました」と、男女の家事の分担の公平性を問題にするような発言を添えるならば、それは「妻」の数字は「図 4-4 妻の従業上の地位別にみた平日における妻の 1 日の家事時間の分布と平均」にある「常勤」の妻の数字と比べないと…「夫」が可哀想すぎるよ…。
男性陣からすると「俺は、会社で働いているんだ!」といいたくなるよね。なるべく条件を揃えた上で数字を比べてあげないと。
比べ直すと、
「常勤の」妻の平日の家事時間は、187分(3時間7分)。
「常勤の」夫の平日の家事時間は、37分。
7倍の開きから、5倍の開きになりました。
同じように育児時間もと比べ直してみます。
「常勤の」妻の平日の育児時間は、378分(6時間18分)。
「常勤の」夫の平日の育児時間は、86分(1時間26分)。
6倍の開きから、4.4倍の開きになりました。
合計すると、妻は9時間25分。夫は2時間3分。
うーーん。常勤の妻が時短勤務だったとしても、7時間以上の開きは、ちょっと妻に負荷が傾きすぎている。
あ。でも、夫の数字って、これ1つしか出されていないのか。
「妻の従業上の地位別にみた平日における夫の 1 日の家事時間の分布と平均」という項目がない!!
これ、「妻が専業主婦」の家庭と「妻も常勤」の家庭では、当然、夫の家事・育児へ関わる時間が変わるよね…うちの保育園の1才~2才児クラスは、お父さんの送り迎えも珍しくない。みな結構ガッツリ育児に関わっている。
ダメだ。この調査数字は。こんなに行数を費やして考察していたのに、考察の根本の数字が、比較するに値しない…!あぁ…。
NHKの「妻の家事時間 夫の7倍」を数値で検証したかったのに…。でも、NHKの記事のお粗末さは語れたと思う。
結論が締まらなくて読んでくてた人に申し訳ないけれど、うちの家庭限定で、さらに肌感覚という超曖昧なものでいうと、共働き家庭であるうちは妻6:夫4ぐらいですよ。旦那さんも頑張っていますよ。「夫の7倍」なんてとんでもない。そんなに私一人で家庭のことを背負っていませんよ~。
気を取り直して…
専業・兼業の区分が関係なくなる休日の数字を見ると、
妻は、休日の家事時間は284分(4時間44分)、育児時間は680分(11時間20分)。
夫は、休日の家事時間は66分(1時間6分)、育児時間は322分(5時間22分)。
になっています。
妻と夫を比べると、家事は4倍以上の開きがあるけれど、育児は2倍差にまで迫っています。子育てには参加しようという努力の現れ…でしょうかね。
それぞれ合計すると、妻は964分(16時間4分)、夫は964分(6時間28分)。
妻の数字を見ると、24時間から16時間を引くと8時間なので、睡眠時間を除いて、休日は自分の自由時間はほぼなく「家事」と「育児」を常にしているという感覚なのでしょう。
対して、夫は、妻と比べて9時間半が浮いています。
この差はどこからくる?
土日、旦那さんだけ一人で出かけてしまうのか?
それとも、女性は「家族で一緒にいる=家事なり育児なりが発生している」と捉えるのに対し、男性は「直接的に家事・育児の世話が発生しないかぎり、ただ一緒にいる時間は家事・育児をしているとは捉えていない」という感覚なのか?
あ、もしかしたら、家庭内の家事・育児の主従のせいかも。
妻は家事育児に関しては「主」の立場で、自分でやっていることはもちろん、夫に指示を出したことも、常に気を配り監督している。そのために16時間常に家事・育児をしている感覚に。対して夫は、「言われたからやる」という受け身の状態だと、「指示が出ていないから待機中」という名目のもと、自分の時間として認識し使っている。
夫の家事・育児の時間をUPするための案としては、
①妻が司令塔として、常に指示を出し続ける
②夫が司令なしでもフレキシブルに動けるように教育する
①は疲れそうだから②が理想だね。
NHKの記事のまとめ方は論外だけど、この調査も今後は「妻」「夫」という切り口では、正確な数字は出せなくなると思う。
「専業主婦」と「常勤」では、妻から出てくる数字がまったく異なるので、ひとくくりに「妻」でまとめると実態が見えにくくなる。また、「夫」の数字も、妻の働き方によって違うだろうし、さらには「専業主夫」も少しずつ増えていくので、「夫は常勤」という前提ですべての数字をまとめてしまうと、さらに実態が見えなくなる。
今の区分のままだと「夫の家事・育児参加率が上がった!と思っていたら、実は専業主夫が増加していたためでした」ということもありうる。
もう、「夫」「妻」、「男」「女」という区分では、労働・家事・育児の統計は出せない時代になってきている。
5年後に行われる「第7回全国家庭動向調査」では、どういう区分けになっているのかな。ちゃんと変わって、世相が現れるものになっているといいのだけど。