片隅でひっそりと

~共働き家庭の 仕事・家事・育児~

「かあちゃんの夏休みはいつなんだろう?」「とうちゃんとかあちゃんと、あなたの3人とで過ごす楽しい時間が夏休みだよ」

去年も今年も、「夏休み お母さん 大変」というキーワードの記事をいくつか見ました。

記事を見て、「うわーーーー大変そう!」というのが感想。

 

私も「お母さん」だけど、まだ傍観者の立ち位置。

なぜなら、まだ子どもが保育園児だから。

小学生がいる家庭、それも共働きの家庭の過酷さ…「子どもが長時間一人で過ごすことになるのを防ぐために、塾やイベントでスケジュールを埋め尽くす」とか「夏休みの宿題の進行管理」とか「自由研究のサポート」とか「学童は給食がないので毎日お弁当を持たせる」とかとか…当事者になったときを想像すると「うわーーー!」となる。

「それ、仕事から帰り夕食を作りご飯を食べてお風呂に入った後の、寝るまで間の2時間ほどにようやくもてた子どもとの憩いの時間にやるの? もしくは心身ともに癒しとなる土日の休日を潰して? 無理ゲーじゃやない?」と思う。

 

小学生の夏休みは、専業主婦をしているお母さんは「子どもと終日ずっと一緒に過ごす大変さ」があり、共働きのお父さん・お母さんは「仕事のために、子どもと一緒に過ごせないことからくる大変さ」がある。

 

で、いま話題になっているOisixの「かあちゃんの夏休みはいつなんだろう」というポスター。

広告業界の端くれにいる身としては、Oisixの事業内容と、夏休みに持ち上がる時事問題とを、しんちゃんの視点を借りて言葉にすることでうまく融合したなぁ、すごい企画案だなぁ…と、多分、独身時代なら手放しで賞賛していた。

でも、「母」の立場でこの企画を見ると「ん、ん~?」という、腑に落ちないというか…モヤモヤしたものを感じてしまった。

 

まず、このコピーの「夏休み」って、どんな状態を想定しているんだろう?

家事・育児から解放されること? まさか終日? それも、何日間かまとまった日にちで?

…子ども目線のコピーにマジ突っ込みするのは大人気ないけど、いわせて。子ども目線を装った大人が作ったコピーだからいいよね。

 

まず、世の中のサラリーマンの夏休みなんて、基本は「土日祝日」も含めてのカウントです。悲しいことに。

だから、旦那さんは10連休。私は4連休とはいえ、土日祝日をのぞけば、旦那さんの夏休みは4日。私の夏休みにいたっては2日。たったそれだけ。でも、その「たったそれだけ」を楽しみにしてるんだよねぇ…。

 

で、この「夏休み」も、当然家事・育児から解放されているわけではない。

私より休みが多かった旦那さんも、休日はほぼ家事に費やされていた。

2日間限定の「主夫」

でも、家事って、結婚する前の独身時代だって、やらざるをえないものとして存在しているし。

「独身時代」と「母・父」になってからの違いって、

①「育児」という項目が増えたこと

②「家事」での分量(人数)が増えたこと

③「今日はやらない。明日まとめてやればいいや」と手抜きや先送りがしずらくなったこと

だと思う。

しかし、結婚したことで「担う人手が増えた」というのがあるので、②に関しては、分量が増えていても働き手も増えたことで相殺され、さらに+αのメリットがあると思う。

(ただし、家事育児を夫婦二人で担っている家庭であれば、だけど)

 

なので、共働き家庭からすると「“夏休み”っていっても、完全に何もしない・自分だけの自由な時間なんて、男女(とうちゃん・かあちゃん)ともにない! それに関しては平日と一緒!」です。

 

 

しんちゃんちは、かあちゃんは専業主婦だし、しんちゃんは幼稚園に通っているから、保育園よりも夏休みが長いしね。

そういう家庭からしたら、「とうちゃんは夏休みで会社がなくて家でゴロゴロ。かあちゃんはいつもどおり一人で家事育児に追われている。…かあちゃんの夏休みは…?」ということになり、このコピーにたどり着くんだろうなぁ。

 

でも、共働き家庭からしたら、この思考の流れは全然自分たちのライフスタイルに当てはまらないので、キャッチコピーに「そうそう!」という共感が沸いてこない。

うちは「かあちゃん」だけでなく「とうちゃん」も同じ状態だから。ありがたいことに。(旦那さんが家事育児へコミットしてくれる姿勢に感謝!)

その問いかけ自体、うちのような家庭では的外れなのだけど、もしするのであれば、かあちゃんだけでなく、とうちゃんにもしてあげてくれ。

 

さらにいうと、共働き家庭が戦々恐々としているのは「小学生の夏休み」であり、保育園に預けているうちには問題に直面しない。だから「幼稚園のしんのすけ」ではなく、小学生キャラの方が、共働き家庭には響くと思うんだけど。

残念ながら、大御所キャラである「のび太」も「カツオ」も、専業主婦家庭なんだよねぇ…昭和キャラには、共働き家庭設定はないか…。

 

現代は多様化しており、昔のように「モデル家庭」といえる「大多数」がなくなってしまったので、マス広告としてターゲット層全世帯に訴えかける企画やキャッチコピーを作るのは無理なのだろうな。(昔のリゲインのCMで、サラリーマンに向けた「24時間働けますか」というコピーは秀逸だったと思う。今となっては労働基準に引っかかるありえないコピーだけど。)

「共働き家庭の私にはピンとこなかった」と難癖をつけてますが、でもピンとはきていなくても、これだけ話題になってる時点で広告としては大成功だと思う。

 

もし、ぐり君に「かあちゃんの夏休みはいつなんだろう?」と問われたら、ぎゅっと抱きしめて「とうちゃんとかあちゃんと、あなたの3人とで過ごす楽しい時間が夏休みだよ」と返事をしたい。

家事育児の合間のほんの一瞬。3人で遊びに出かけたり、3人で夜更かししてテレビを見ながらアイスを食べたり…3人で過ごす非日常的な楽しい夏の時間。それが私にとっての夏休みだと思う。

 

これに関して、まだ書きたいことがあるので、続きは明日。