片隅でひっそりと

~共働き家庭の 仕事・家事・育児~

結婚で姓を変えたくない! ~義実家と私の戦い~


「結婚後にどちらの姓を名乗るか」について、2人の間では話はまとまっていたけれど、旦那さんが向こうの両親の説得に失敗。

 

私としては、旦那さんが姓は変えたくないといっていたのなら、2人で話し合いの上で決議と考えていたのです。

「何が何でも私の姓にして欲しい」ではなかったのです。

しかし、2人での話し合いの際に、旦那さんは「別にそちらの姓でいいよ。自分の姓は読み間違われたり面倒に感じる時もあるし」といっていたので…「結婚後も姓を変えずにいられる!」と、私が1度夢を見てしまったのがいけなかった。

そうして、まさかの義母と義妹からの反対。

 

聞いた瞬間「…はぁ~?」と。

本人(旦那さん)の希望ならともかく、なぜ外野が!?という気持ち。

義父からの反対ならまだ理解できたのですけど…義父の姓だし。

義父は末っ子で本家は別にあり、受け継いでいきたい珍しい姓でもありません。

しかし、義父は気にしていないが、義母と義妹が反対していると。

 

 

また、旦那さんが、私に義母の言葉をそのまま私に伝えたのもいけなかった。

(だから、旦那よ。なぜ穏便に済むように戦略をたてないのか…。)

義母曰く、「じゃあ、お兄ちゃんは、婿養子に行っちゃうの? うちの子じゃなくなるの? もう二度と会えないの?」

 

…おかあさん、突っ込みどころ満載です。

別にうちの婿養子になってもらうわけではありません。

婚姻届に「結婚後にどちらの姓を名乗るか?」の項目に「男性姓・女性姓」とある部分、「女性姓」に丸をつけるだけですよ。

戦後に戸籍のルールは基本単位が「家」から「夫婦」に改定されていて、結婚したら夫婦2人の戸籍が新たに作られるのです。結婚後に、男性姓を選んでも私が義父と義母の戸籍に入るわけでもないし、女性姓を選んだとしても旦那さんがうちの実家の戸籍に入るわけではありません。

「嫁に貰った」「嫁に行く」は、もう完全に前時代です。

…そもそも、「婿養子」になるってことは、遺産相続の権利も有することになるので。実家には受け継ぐ遺産もたいしてないのに、わざわざ婿養子に迎えたりしません。

 

義母の勘違いルールが結婚時に適用されるなら、じゃあ、結婚して男性姓を名乗った女性はみな実の親と縁切りをしないといけない、ってことになるじゃないですか。

いやいや、そんなことになるぐらいなら、女性は誰一人結婚なんてしませんよ!!!

もう、なんなら事実婚でいいですよ!!!

 

そうして、妹さんも…。そんなに自分の姓を残したいなら、結婚して旦那さんに女性姓を選んで貰えばいいのではないでしょうか。

何故、自分で姓を残す努力もせずに、私に強要する?

 

 

そこそも、この時、旦那さんは40代後半。妹さんは私とほぼ同世代で40代半ば。二人とも、この歳になるまで両親から結婚をせかされた事がなかったと聞いていました。なのに、今更そこを気にするの?

 兄も妹も独身のままなら、あと40年もすれば子孫なしで義母と妹がこだわっている姓も消滅ですよね。

私が泣く泣く自分の姓を諦めて結婚したとして、子どもが出来なければ、やはり同じこと。

もし幸運にも子どもに恵まれたとしても、義母ルールの場合は子どもが女の子なら、やはり数十年の延命でしかなく。

 

「結婚したら女性が姓を変えるもの」という、女性が周囲から押し付けられてきた暗黙の了解。

なぜ?

姓を変えたら、その姓を一生名乗っていかなくてはいけないのは、私なのに。

どうして、それを自分の意思で選ぶのではなく、他人に押し付けられなくてはいけないの?

私にとっての「名前」は、就職してからずっとこの名で戦ってきた(デザイナーとして成果物に名を刻んできた)アイデンティティなのに。

 

私たちの世代は、「男女平等」という言葉の下で教育されて、男女の区別なく仕事をして成果を出して、男性と同等であることをずっと求められてきました。

なぜここにきて「普通は」という圧力で女性が我慢するのがあたりまえ、男性に従属するのがあたりまえ、みたいな扱いをされなくてはいけないの!?

結婚して女性が仕事をやめ、男性が養うというのなら理解できます。家庭に入るほうが姓を変えたほうがデメリットが少ないですから。職場での影響も出ないし、専業主婦になれば手続きする時間もある。でも、そうではないなら、男女平等のはずじゃない! そのために民法で「平等」をうたい、入籍時にどちらの姓でも自分たちで選ぶことが出来るようになっているのでしょう?

 

ちょうどこの少し前、「選択的夫婦別姓制度」の訴訟で、最高裁大法廷は「民法の規定は合憲」という判断を下していました。

私が新卒で就職した25年前にも、夫婦別姓にしようという話題が持ち上がっており、会社にいた妖精のように可憐な先輩は、早晩法律がかわることに希をかけ、事実婚を選んでいたな…。そうして結局数年で破局しちゃっていたな…。

15年前の女性の上司も、結婚して戸籍上は旦那さんの姓にして旧姓で仕事をしていたけど、ある日離婚し、事実婚に変更になっていたな…。

今はまだ「夫婦別姓」の制度に期待を抱くことは現実的ではありません。自分の姓を変えたくないなら、自分で勝ち取らなくてなならない!

 

…で、やはり自分で出した結論は、「事実婚でも致し方ない」でした。

だって、今は事実婚にした場合の制度も色々整ってきていて、自分の気持ちを押し殺して結婚することに、意味を見出せなかったんです。

 

そうして、気付いたのです。

「自分の姓を変えたくない」という女性は、「事実婚」という武器を手にすれば無双だということに!!!

 だって、事実婚の状態で子どもが出来たら、子どもは自動的に私の戸籍に入り、私の姓になるのですから。

 

パターン❶

「男性姓を名乗ることを強要」→「結婚取りやめ・破局

  →【旦那さんの代で姓は消滅】

 

パターン❷

「男性姓を名乗ることを強要」→「私が折れて男性姓を名乗る」→「子どもは出来なかった」

  →【旦那さんの代で姓は消滅】

 

パターン❸

「男性姓を名乗ることを強要」→「私が拒否して事実婚」→「幸運にも子どもが出来る」→「婚姻していないので、自動的に子どもは私の姓に」

→【旦那さんの代で姓は消滅】

 

パターン❹

「男性姓を名乗ることを強要」→「私が折れて男性姓を名乗る」→「女の子が生まれる」

  →【義母ルールによれば、女孫が結婚した時点で姓が受け継がれる可能性は費える。旦那さんの代で姓は消滅】

 

パターン❺

「男性姓を名乗ることを強要」→「私が折れて男性姓を名乗る」→「男の子が生まれる」

  →【私の苦渋の過去から、結婚後の姓をどうするかはお相手の女性の希望と刷り合わせることを子どもに進言。男性姓を強要することはさせない。もし、子どもがお相手の女性姓を選んだら、旦那さんの代で姓は消滅】

 

 

もう、 「姓を変えることを私に快く快諾」させることが出来なかった時点で、義母と義妹は負け戦が決定していたのです。

 

これに気付き、「姓は絶対に変えたくない! もう事実婚でも構わない!」と言い出した私に、旦那さんは大慌て。

これまで、義母と義妹の言葉を伝書鳩よろしく私に伝えていたのを一切止めました。…二人の言葉を伝えていたら、板ばさみで旦那さんが困っているのを察して私が折れると思っていたのでしょうかね?

さらに「実家の意向は無視しよう」と言い出した旦那さんに、「結婚は自分たちだけでなく、それぞれの親兄弟とも縁を結ぶもの。絶縁みたいな状況になってまで結婚する意味はない」と私が反対。

以後、私の知らないところで旦那さんは動き、義実家に私が挨拶に行くまでの間に「結婚したら女性姓を選ぶ」ことで義実家の合意を取り付けていました。

 

義実家の面々とは顔も合わせる前から険悪な状態になっていましたが、挨拶に伺った際の義父と義母のもてなしの態度で、もう水に流しました。多分、先方も水に流してくれていることでしょう。

今日は当時を思い出しながら書いていたらまた不条理さを思い出して怒りがこみ上げてしまいましたが(笑) 結果的には女性姓を名乗らせてもらったので、もうわだかまりはありません。

義父とも義母とも義妹とも、ちょこちょこ顔をあわせてそれなりに仲良くやっています。義母からは「歳の離れたお友達みたい。あなたがお嫁さんで良かったわ」といってもらえました。今後も末永く仲良くしていきたいです。

 

 

世の中の男の子の「おかあさん」たち。ご注意を。もし、息子の結婚時に、今までの姓を選択してもらいたいなら、お相手の女性に向かって「女性が姓を変えるのが当たり前」なんて傲慢な態度をとってはいけません。

 

 

私は、「私のアイデンティティ」と感じている姓を私自身が変えたくなかっただけで、別に自分の姓を後世に残したいわけではありません。

だから、もし息子が将来結婚することになって、その際に女性姓を選ぶことになっても反対はしません。

 

サイボウズの青野さん、選択的夫婦別姓制度を求めた訴訟は棄却されてしまいましたね。

なぜ日本人は結婚すると夫の姓を名乗るか | プレジデントオンライン

夫婦別姓までの道のりは長いと思います。

でも、私のように「自分の姓を変えたくない」というだけなら

「夫婦は、婚姻の際に定めるところに従い、夫又は妻の氏を称する」(750条)と定めている。夫と妻どちらの姓にしてもいいので、制度上、男女の扱いに差はない。ただ、妻が夫の姓を名乗るケースは約96%。

この96%という状態を改善するのには、法まで変える必要はないのです。

 

「自分の姓を変えたくない」と思っている女性たち一人ひとりが、声をあげ、将来を共にしようと考えているパートナーときちんと話し合えばいいのです。

そうして、男の子のお母さんたちは、数十年前の自分の葛藤を思い出し、子どもたちの選択に口を挟まずに快諾してあげればいいだけです。

 

「結婚前に話し合うべきこと」のキーワードで検索するとアドバイスの記事がたくさん出てきますが、ぜひ「結婚後にどちらの姓を名乗るか」の項目を入れていただきたい。

今は96%でも、数年・数十年かけていつか外圧がなくなり平等に選択できるようになるといいですね。

 

「妻の姓に変えたらクソゲーな手続きが待っていた」 わずか4%、結婚で改姓した男性たちの本音 - 弁護士ドットコム

旦那さん、私の希望を通し、クソゲーな手続きをしてくれてありがとう。

ところで、結婚して2年半過ぎたけど、うちもまだ手続きが終わってないね…。

郵便物、まだ旦那さんの旧姓で届いているものがある…。

 

 

ちなみに、旦那さんが姓を変えてくれたことは、旦那さんの親戚・友人には明言していません。親戚への年賀状も旦那さんは旧姓で出しています。しかし、そうすることで親族間に波風が立たないなら、それでいいと思っています。