片隅でひっそりと

~共働き家庭の 仕事・家事・育児~

「一人暮らし」の母を想う

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私が二十歳の時。就職して半年後に一人暮らしを始めた当初、親から電話がかかってくるのをうっとおしく感じていました。

とくに話すこともなく、毎回繰り返される「元気にしているの?」のやり取りに、意味を見いだせなくて。「元気だよ。何?何の用?」と、いつもつっけんどんに言葉を返していました。

 

今ならわかります。用事などなく、元気にしているかの確認でもなかったのだと。離れた地で一人で暮らしていたら、何かあっても気付くことすらできない。「危ない目にあっていないか」「生きているか」と心配で、ただ声を聞いて安心したい、という気持ちだったのだと。

 

父が突然亡くなってしまってから、半年。16日(土)が月命日でした。

遠い地に住む弟一家は来られなかったけれど、妹・姪と実家に集まり、少しだけ早めの春のお彼岸。

普段、母一人ではできないことを請け負って手伝ってきました。

1日目は、庭の柿の木の高い枝をばっさりと剪定。太い枝を切り落とし、ゴミに出せるように小さくまとめるのに1時間半ほど。その間、庭で遊ばせていたぐり君も、お運びを手伝ったりしてウロウロ。

2日目は、旦那さんはバッテリーの上がってしまった軽トラックを、ご近所さんの協力のもとで復帰。私は、2階の出窓にカーテンレールをつけたいという要望に応えました。

 

大仕事を終えてやれやれと思っていると…姪っ子と遊んでテンションのあがったぐり君が、障子を破壊! 障子紙を破くだけならともかく、桟まで折ってしまいました…。

次、ゴールデンウィークに帰省した際には、障子の補修仕事が待ってます…。

 

実家に帰省できるのは、数ヶ月に一度。

共働きで子育てもしていて、ふっと一息つけるのが22時以降。平日は、なかなか電話で近況確認などできません。

こまめに土日に妹が実家に顔を出してくれますが、それでも母親の一人暮らしは心配。

アポ電強盗のニュースもあったので、「私たちがいる間に、電話は留守電設定にして」とお願いして設定を替えてもらいました。

一人暮らしって、本人はひょうひょうとしているけれど、周りの方が心配でハラハラですね。私が一人暮らしをした当初の両親はこんな気持ちだったのだろうな。

 

結婚する前は大手企業でOLをしていた母。当時は寿退社が当たり前で、既婚女性が職場に残ることのほうが風当たりが強かった時代。…私なんて入れないような大企業に在籍していたのに…寿退社だなんてもったいない…。

結婚前、父は母を「読書が好きなもの静かな女性」だと思っていたそうですが、結構、社交的でアクティブ。働くことも好きで、パート仕事に注力しすぎて、父に怒られたりしていました。

 

そんな母なので、2月にぐり君と二人で実家に帰省した折、「シルバー派遣とかで働いてみたら?」と持ちかけてみたのですが。

「もうこの歳で雇ってくれるところなんてないわよ」と、一蹴されてしまいました。

仕事があれば、人との交流で寂しさもまぎれるし、ボケ防止にもなるし、孤独死の心配も減るし、生活リズムも規則正しくなるし、年金暮らしの生活にも余裕が生まれるし…と、一石五鳥なんだけどなぁ。

まあ、今までずっと頑張ってきたのだから、本人がやる気がないのに薦めるのは老体に鞭打つようだしなぁと、話はそこでお仕舞いに。

そういえば、2月は、旦那さんがスキー旅行にいったのでぐり君と二人で帰省したのですが、このときもたまたま月命日でした。

 

そうして、一ヶ月後。

母からLINEで「おはよう。お仕事見つかりました。××で5月から始まります。」と…!!

え、先週末に帰省した際には、そんな話はチラリともなかったよ!?

即座に、Googleに社名と地域情報を打ちこみ検索。ちゃんとWEBサイトもあるし、プロから見ても綺麗なサイト。

あ、なんだか楽しそうな職場。そうして美味しそうな商品。美味しそうなというか…ここの商品私も食べたことあるね。美味しいのは知ってる。

日々納期に追われる仕事をしている娘から見て、魅力的な仕事内容。

い、い、な~、お母さん!!! うらやましいぞ!!

 

昨年は、理不尽に思うようなことも、悲しいこともあったけれど、生きていれば嬉しいこともたくさんあるね。

父がいない新たな生活。母の次のライフステージが、明るく楽しいものでありますように。